詩人 響月光のブログ

詩人響月光の詩と小説を紹介します。

2021年10月のブログ記事

  • エッセー「他人の命について」& 奇譚童話「草原の光」十九&詩

    詩 天空の花園 人生で一度だけ この世のものとは思えないほどの 美しい花々を見たことがある それはアルプスの高原に広がる 高山植物の群生だった 一センチにも満たない花たちがそよ風に揺れながら 年に一度の装いを競い合っていた 汚れのない空気が花びらに溶け込み 清らかな陽の光を透過して どの花たちも高... 続きをみる

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  • エッセー ・国家暴走抑止力としての「天皇制」&「草原の光」十八 & 詩

    詩 霊子 夕刻に近くの浜辺を散策していると 霊子は背後から忍び足でやってきて 僕の左脇にピッタリとくっ付き 透き通るような華奢な腕を腰に絡めた 僕は思わず彼女の透明な頬に口づけするが 爽やかな潮の香りが鼻の中に広がり そこから肺を通して体全体に拡散し この世の邪気が霧のように消えていく 陰鬱な僕の... 続きをみる

  • 奇譚童話「草原の光」十七 & 詩

    詩 海辺の英霊 (戦争レクイエムより) 水平線はるか彼方に かつて生まれた天国があった 嗚呼我が故郷 あふれ出る狂騒 いまは潮風囁く珊瑚の浜辺に 我がしゃれこうべは白砂と化し 平穏の時を波と戯れる 生き抜くための戦いを潤す 黒赤く膨れた血袋は朽ち 罪深き心もろとも波に洗われ精粋に いまここにあるの... 続きをみる

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  • エッセー 「真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞で思ったこと」ほか

    エッセー 真鍋淑郎氏のノーベル賞受賞で思ったこと  今年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが選ばれた。真鍋さんは地球温暖化研究の先駆的存在で、気象学という人間の生活に直結する分野の人が物理学賞を受賞すること自体が驚きだった。いままでの物理学賞は、宇宙物理学のように生活に直接関係しないような研究が多か... 続きをみる