詩人 響月光のブログ

詩人響月光の詩と小説を紹介します。

2019年6月のブログ記事

  • 恐るべきリケジョたちⅣ & ネクロポリスⅫ

    世にも不愉快な物語 恐るべきリケジョたちⅣ  しかし本当の地獄は、まだ始まっていない。地獄は、緑のお肌がいやだなんだといったムーディーな話じゃないのだ。そのまま一カ月ほどは煉獄的な中途半端な状態だが、これは天国といっても間違いはなかった。目立ったイベントもなく、悠々自適の生活を送ることができたのだ... 続きをみる

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  • ネクロポリスⅪ & 恐るべきリケジョたちⅢ

    ネクロポリスⅪ あてどもない放浪は、広大な塩湖に阻まれた 死の海の畔の岩に、ギリシア風の戦士が腰を掛け 浮き沈みする無数の塩玉を眺めていた それは赤子の魂のようにまん丸だった 俺は金平糖のように尖っていたのさ…… アテネに滅ぼされた小さな島の大将だよ あいつらは身勝手なさざ波に無抵抗を選び 我慢し... 続きをみる

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  • ネクロポリスⅩ & 恐るべきリケジョたちⅡ

    ネクロポリスⅩ 老人は天まで届くような巨木の下に佇む 首なし兵隊に誰何された 「昔、貴方の敵兵でした」 「ここはキリングフィールドさ。君たちが射止めた連中は 大地に帰って木々の栄養になったんだ」 兵隊のされこうべは、ヤゴの指輪になっていた 破壊され 忘れ去られたあとに 無数の巨木の芽が ぶち割られ... 続きをみる

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  • ネクロポリスⅨ & 世にも不愉快な物語Ⅰ

    ネクロポリスⅨ 老人は太った老人の手招きでたらいの側にやってきた たらいの側面に耳を当てて、妻の歌を聞いてください 昔はやった「マクベス夫人」の歌です まるで天使の歌声ですよ 老人が耳を当てると、コケットな歌声が聞こえてきた 信じなさい 手に入るときに手に入れる 恐れることはありません 欲しいもの... 続きをみる

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  • ネクロポリスⅧ

    丘の下に大きなたらいがあった。 恰幅のいい老人が空しい眼差しで たらいの中を眺めていた 一匹の太ったマグロが 大きな円を描いて泳いでいる これはかつて私の妻でした 老人はため息を吐きながらつぶやいた 妻はジッとしていられない女でした 動いていないと死んでしまうのです 動けば動くほど 私のお金は減っ... 続きをみる

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