詩人 響月光のブログ

詩人響月光の詩と小説を紹介します。

2020年3月のブログ記事

  • ロボ・パラダイス(最終)& 詩

    詩 嗚呼ナガサキ 遠くの遠くの彼方から 冷ややかな眼差しが 数え切れないニュートリノに紛れて 殺戮の焦土に降り注ぐ そうだこの冷たい粒子は にわか作りの放射能の数百倍も 私たちを侵し続けているのだ 操られている 踊り狂わされている 気付いたときが終わったとき  すべては永遠に消えてしまった 地表に... 続きをみる

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  • ロボ・パラダイス(二十七)& 詩

    詩 牙 昔は生きていくために必要だったのに 今は生きていくために捨ててしまった 一振りで事済む野獣の長い刀だ 象牙の白に染み入る鮮血の赤は滝をのぼる錦鯉 それは昔 食い物を奪うための凶器 それは昔 雌を奪うための一物 君たちはどんよりしたスモッグの中で 透明になろうと引っこ抜いてしまった 草を食む... 続きをみる

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  • ロボ・パラダイス(二十六)& 詩

    詩 海岸に打ち上げられた男の夢想 かつてポセイドンが私に語りかけたことがある それは美しい松原のある砂浜に寝転がっていたとき 目蓋の裏の血潮がさっと引いて辺りが真っ暗になり 驚いて目を開けたのだけれど それは日蝕と異なる怪奇現象だった ガリガリに痩せた裸の老人が 薄汚れたごま塩の髭をねじりながら ... 続きをみる

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  • ロボ・パラダイス(二十五)& 詩

    詩 休戦 灰色の希望は 虹色の夢想と違い 慎ましやかなものだ 誰もが生き残れる 小指大の安穏… ゲルニカ色とは異なる 暁闇のわずかな赤みは 灰に落としてしまった 幸せの欠片 後ろを振り向かず 前の方角にひとまず半歩 重い義足に灰を被らせ 杖を使って倒れることなく 爆音しない灰色の空を見上げるのだ ... 続きをみる

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