詩人 響月光のブログ

詩人響月光の詩と小説を紹介します。

2021年9月のブログ記事

  • 奇譚童話「草原の光」 十五 & 詩

    詩 野に咲く一輪の花 地下道の石壁の中には アンモナイトたちの無念さが塗り込められていた さらけ出された地層の奥深く 草食恐竜たちは食われる恐怖で石となった 自然の落とし穴の暗闇から 落ちたカモシカの叫びが木霊となった 底なし沼の底には なぜか石油が眠っていた 見捨てられたプランクトンの怨念が 漆... 続きをみる

  • エッセー「シンギュラリティと愛護精神」& 詩 & 奇譚童話「草原の光」十四

    詩 嗚呼 女 妄想の中に現われ 現実の中に消える 理想という衣を纏う その女たち 刈り落とされる爪のように 消えては現われ 現われては消える  あるいは泡 不気味な深海から 浮き出る魔性 幻影だが 心を激しく動かす  なまなましい希求をはぐくみ 諦念の盾を捨て 思いをめぐらせる 触れることはできな... 続きをみる

  • 奇譚童話「草原の光」 十三 & 詩

    詩 ジハード 生きているのが地獄なら 死んだほうがましだろう 戦いで死ねば天国に行けるのなら 誰もが戦おうと思うだろう 荒地の畑で採れるわずかな作物を食べ 死ぬまで生きるために暮らすのなら 麻薬の花を摘んで 少しは楽になろうと思うだろう 苦しければ苦しいほど 先がなければ先がないほど 追い詰められ... 続きをみる

  • 奇譚童話「草原の光」 十二 & 詩

    詩 夢見るゆえに君在り 謎ばかりの宇宙の中で 不可知の怖さに目を瞑り 運命の流れに翻弄されまいと 確かなものにしがみ付くが そいつは巨木のように頑丈でいて しょせんは宇宙に漂う根無し草 詩人と天文学者は大口開けて 宇宙を吸い込むから馬鹿にされる ポンと軽薄な音を立て、蛙みたいに破裂する 小さく哀れ... 続きをみる

  • 奇譚童話「草原の光」十一 & エッセー & 詩

    エッセー 「民主主義」という幻想  アフガニスタンの混乱によって、民主主義を世界に広めようとするアメリカの理想はもろくも崩れ去ってしまった。かつての日本が、神道(現人神)を柱にした独裁政権であったように、アフガニスタンには結局民主主義は広がらず、厳格なイスラム教を柱とした非民主的国家にハードランデ... 続きをみる

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