詩人 響月光のブログ

詩人響月光の詩と小説を紹介します。

2021年1月のブログ記事

  • 戯曲「ツチノコ」Ⅱ

    九 手術室  (鍾乳洞全体が褐色のプロポリスで塗り固められた手術室。手術台が二つ置かれ、一台にはディーバが、ほかには皮膚を提供する巫女が寝かされている。ディーバの横には河童が介護人のように佇む。手術台の上に鍾乳石が下がり、そこに照明が取り付けられている。首から下がすっかり蛇になってしまった山本が、... 続きをみる

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  • 戯曲「ツチノコ」Ⅰ & エッセー

    エッセー 悲観的進化論  ダーウィンに始まる「進化論」は、生物がその時々の環境に対応するために、その遺伝的形質を世代的に変化させていく様を示している。しかし、「進化」といってもそれは進歩ではなく、単なる変化に過ぎないのは、環境は進歩するものではなく、変化するものだからだ。寒冷化が進めば、体はそれに... 続きをみる

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  • 戯曲「ツチノコ」& 詩

    詩 独り舞台 俺はいま、地球というプレハブの舞台に立って おそらく奈落に落ちるまでの短い間 落ちるまいと必死に何かを演じているんだ 役柄については何も聞かされちゃいない 俺自身、誰かも思いつかない ただ一つ言えることは ほかの奴らも滑稽に何か演じているんだが お互いにさしたる関心もなく 基本的には... 続きをみる

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  • 戯曲「ツチノコ」一五 & エッセー

    エッセー インターネットは薔薇色?  遠い昔、地球上には様々な感性の人間たちが生きていた。彼らは近隣の人々と交易を行ったり衝突したりしながら、感性と感性が混じり合い、次第に共通の感性や価値観を持つようになって文明が造られていった。    その頃の地球を大小様々な文明の色で着色すると、多彩なまだら模... 続きをみる

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  • 戯曲「ツチノコ」一四 & 詩

    詩 僕の心 僕は不思議な夢を見た 僕の心がリークして 小さなデバイスに入り込んでしまった そこからインターネットに流れ込んで 世界中の人の心と混じり合ってしまった 僕の心は拡散に拡散を重ねて 世界中の人と同じことを考えるようになった 僕の心はもう僕の心ではなくなっていた 僕の心はもう戻っては来なか... 続きをみる

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